我が家の猫がかかった病気・関連する病気や、
検査項目の意味などの用語集
循環器の病気
心筋症 しんきんしょう
心臓に機能障害を起こす心筋の病気。猫でよくみられる心筋症は、肥大型心筋症・拡張型心筋症・拘束型心筋症の3つ。この他に、不整脈原性右室心筋症、分類不能心筋症などもある。心筋症により心臓の機能が障害を受けるため治療が必要。
- 肥大型心筋症 : 心臓の筋肉がどんどん厚くなってしまう
- 拡張型心筋症 : 心臓の筋肉がどんどん薄くなって心臓自体が大きくなる
- 拘束型心筋症 : 心臓が硬く拡張しにくくなってしまう
肥大型心筋症 ひだいがたしんきんしょう
心臓の筋肉(主に左心室の筋肉)が厚く変形することで、左心室自体が狭くなるため血液を貯めることが出来ず、結果体が必要とする血液を心臓から全身に送り出すことが難しくなる病気。猫の心臓の病気の中で最も多く発生し、猫の15~30%が罹患していると言われ、猫の心筋症の60〜70%を占める。
大動脈血栓栓塞症 だいどうみゃくけっせんせんそくしょう
大動脈血栓塞栓症とは心疾患のある猫に見られる合併症であり、動脈内に血栓ができて血管が閉塞してしまう緊急性の高い病気。原因の多くは心臓病で、肥大型心筋症を発症している猫の33〜50%は大動脈血栓塞栓症が見られるとも。
洋猫の血が混じっている場合に発症しやすく、その中でもアメリカンショートヘアに多く見られる病気でもある。
泌尿器の病気
尿路結石 にょうろけっせき
尿路結石(尿道結石ともいう)腎臓で作られた尿が排泄されるまでの「尿路」のどこかの場所に結石ができる病気。
一番多いのが「リン酸アンモニウムマグネシウム(ストルバイト)」を主成分にする結石で、その他にシュウ酸カルシウム・尿酸アンモニウム・尿酸などの成分による結石も見られる。
石や結晶(結石になる前の細かい粒子)が膀胱の粘膜を傷つけることによって、血尿や頻尿といった症状が出る。
腎不全 じんふぜん
腎不全は腎臓の機能が低下してしまう病気。猫は体質上、腎不全にかかりやすい傾向がある。
腎臓は体内の老廃物をろ過し尿として体外に排出する働きをしているため、腎不全になると体内に毒素が溜まり体にさまざまな不調を引き起こすように。
腎不全には「慢性腎不全」と「急性腎不全」の2種類あり、機能障害の程度により4段階に分類される。
- ステージⅠ(代償期) : ほぼ症状がなく、健康診断でたまたま検出されやすい
- ステージⅡ(腎機能障害) : 水を飲む量やオシッコの量が増えたり無症状だったり / 血液検査の数値は正常~やや高値
- ステージⅢ(狭義の腎不全) : 腎臓の機能がかなり低下 / 血液検査でクレアチニンや尿素窒素(BUN)の数値が高くなり、貧血・便秘・多飲多尿・食欲不振・嘔吐などの症状が
- ステージⅣ(尿毒症) : 腎臓がほぼ機能せず尿が作れなくなり、尿の量が減少(乏尿)出ない場合も(無尿)
慢性腎不全 まんせいじんふぜん
身体の中を流れる血液の濾過器のような働きをする腎臓が働かなくなる病気。濾過が正常に行われないことにより、老廃物が体内に溜まり尿毒症に発展する危険性がある。
その腎不全が長期間かけて徐々に症状が出るものを「慢性腎不全」という。3ヵ月以上継続して腎臓の機能低下が起きているか、GFR(糸球体濾過量)の50%以上に障害が確認される場合に慢性腎不全と判断される。猫の場合は慢性腎不全のほうが多い。
急性腎不全 きゅうせいじんふぜん
身体の中を流れる血液の濾過器のような働きをする腎臓が働かなくなる病気。濾過が正常に行われないことにより、老廃物が体内に溜まり尿毒症に発展する危険性がある。
その腎不全が数時間~数日という短期間で急激に悪化するものを「急性腎不全」という。頻繁に嘔吐を繰り返し、体温低下・ひきつけ・口からのアンモニア臭のほか、脱水症状が見られる。一刻も早い治療が必要。
血液の病気
低悪性度消化器型リンパ腫 ていあくせいどしょうかきがたりんぱしゅ
リンパ腫は血液がんの1つで、白血球のなかのリンパ球ががん化する病気。中でも肝臓・膵臓・腸を中心に発生したものを「消化器型リンパ腫」と呼ぶ。
また "低悪性度" とは「悪性度の低い」癌のことで、癌の成長が遅く進行しにくい。
「悪性度」とは癌の発育の早さ、周りの組織への広がりやすさ、リンパ節や他の臓器に転移する能力のことで、逆に「悪性度の高い」癌は成長が早く癌の進行を食い止めることが難しい。
貧血 ひんけつ
貧血は末梢血中の赤血球数や血色素量が減少している状態をいい、臨床的には全身への酸素供給が十分に行われないことにより、運動不耐、呼吸困難、失神、粘膜蒼白などが認められる。さまざまな病気の一症状として現れ、以下のように分類される。
- 再生性貧血 : 骨髄で赤血球をつくることが出来る
- 出血性貧血 : 出血に起因して発症する貧血
- 溶血性貧血 : 赤血球寿命より早期に赤血球が破壊されてしまうことにより起きる貧血
- 再生不良性貧血 : 骨髄機能が減退し赤血球をつくる機能が低下する
溶血性貧血 ようけつせいひんけつ
赤血球が寿命よりも(猫の赤血球の寿命は約90日)早期に破壊されてしまうこと(これを「溶血」という)で起こる貧血。症状は、黄疸、血中素尿、脾臓や肝臓の肥大などがみられることもある。
内分泌・代謝性の病気
甲状腺機能亢進症 こうじょうせんきのうこうしんしょう
中高齢以降の猫にみられ、多飲多尿や食欲があるのに痩せていくなどの症状がある。本来身体の新陳代謝をコントロールする働きを示す甲状腺ホルモンが、過剰に分泌され全身の酸素要求量が増大し、赤血球増多症や心拡大が起きる病気。
消化器の病気
歯肉口内炎 しにくこうないえん
歯の周囲にある歯肉(歯茎部分)に炎症が起こっている状態を言う。動物は口腔内を清潔に保つことが困難なため自然治癒はあまり期待できず、口腔内に知覚過敏や痛みを感じるため食欲不振に陥りやすい。ほとんどの場合生涯付き合っていく慢性疾患。
黄疸 おうだん
黄疸は皮膚や粘膜が黄色くみえる状態であり、これは胆汁色素である ビリルビン が血液中に増加していることを示す一つの症状(高ビリルビン血症)である。ビリルビンは赤血球中のヘモグロビンなどから網内系(肝臓・脾臓・骨髄など)でつくられ、胆汁中に排泄される色素であるため、溶血性の疾患(赤血球破壊の増加)、肝臓や胆管系の障害などでみられる。
感染症の病気
猫伝染性腹膜炎 (FIP) ねこでんせんせいふくまくえん
猫コロナウイルスに起因し、比較的緩慢に進行する全身病で、いったん発病した猫の死亡率は極めて高い。全身に病変が形成される為おかされる病気によってその症状はさまざま。
猫免疫不全ウイルス (FIV) 感染症 ねこめんせきふぜんういるすかんせんしょう
俗に猫エイズとも言う。世界中の猫でみられ、ウイルスは喧嘩の咬み傷などから感染する。FeLVと異なり経口感染は起こらない。現時点では一度ウイルスが猫の体内に入ってしまうと、これらを消滅させることは不可能。ただしFIV陽性の猫のすべてが発症するわけではない。猫以外には感染しないが、効果的な治療法もワクチンも現段階ではないので猫を外に出さないことが最大の予防策となる。
猫白血病ウイルス (FeLV) 感染症 ねこはっけつびょうういるすかんせんしょう
猫白血病ウイルス(FeLV : Feline Leukemia Virus)によって引き起こされる感染症。主に感染猫の分泌物を介して感染する。ウイルスが直接的に関与にして発症する疾患には、造血器腫瘍(リンパ腫・リンパ性および骨髄性急性白血病・骨髄異形成白血病)、再生不良性貧血、赤芽球癆、流産、脳神経疾患などがある。
その他
骨髄抑制 こつずいよくせい
骨髄毒性(myelotoxicity)または血液毒性とも呼ばれ、免疫系に影響を与える薬物療法や放射線治療により、血液細胞を生成する機能が低下する重大な副作用。白血球(免疫を担う細胞)が減少すると感染症、赤血球(酸素を運搬する細胞)が減少すると貧血、血小板(正常な血液凝固を担う細胞)が減少すると出血が起こる。
クッシング症候群 くっしんぐしょうこうぐん
別名「副腎皮質機能亢進症」。腎臓の頭側にある「副腎」と呼ばれる豆粒代の臓器が作るホルモンの一つである副腎皮質ホルモン(コルチゾール)の過剰分泌により、全身にさまざまな症状をきたす病気のこと。コルチゾールは、生命の維持に不可欠なホルモンで、糖質や脂質・タンパク質の代謝、免疫抑制、抗炎症作用に大きく関わる。
検査項目
充填赤血球量 じゅうてんせっけっきゅうりょう
全血液の成分のうち、赤血球の容積がどれくらい占めるのかを表した数値。PCV(Packed Cell Volume)ともいう。この数値が低ければ貧血が疑われ、逆に高ければ脱水が疑われる。
アルブミン あるぶみん
血液中に多く含まれるタンパク質。上昇は脱水、低下は肝臓・腎臓・腸などの疾患や出血などが疑われる。
BUN(尿素窒素)
腎臓から排出される蛋白質の代謝産物で、食後や脱水、腎機能の著しい低下、消化管内出血などで数値が上昇する。また、肝機能の低下により減少することがある。
総ビリルビン そうびりるびん
赤血球の寿命がつき破壊されるときに生成される黄色い色素(胆汁色素)のこと。溶血、肝障害、胆汁鬱滞や胆道閉塞などで上昇し、黄疸の原因となる。
肝臓で処理される前のビリルビンを「間接ビリルビン」、処理(グルクロン酸抱合という)された後のビリルビンを「直接ビリルビン」と言い。これらを合わせて「総ビリルビン」と呼ぶ。通常、血液中にごくわずかしか存在していない。
GPT (ALT)
GPTとは、グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼの頭文字を取った略称。最近はALTと言われることが多い。GOTと同じく体の中でアミノ酸を代謝するときに活躍する酵素のこと。
もともとGTPは血液中にあまり存在せず、主に肝臓の肝細胞内に多く含まれる。しかし何らかの理由で肝臓に障害が起き血液中に漏れ出した時、数値が高くなる。
GOT (AST)
GOTとは、グルタミン酸オキザロ酢酸トランスアミナーゼの頭文字を取った略称。最近はASTと言われることが多い。GPTと同じく体の中でアミノ酸を代謝するときに活躍する酵素のこと。
肝細胞内に多く含まれるGTPとは異なり、GOTは肝細胞内だけではなく、筋肉(体の筋肉である骨格筋と心臓の筋肉である心筋)や赤血球にも存在する。そのため、肝細胞障害だけでなく骨格筋や心筋の障害、赤血球が壊れる病気である溶血性疾患でも異常値が現れる。